ロコモ・サルコペニアとは?予防の運動を整形外科専門医が解説【福岡市中央区小笹】
- 2026/05/31
- リハビリテーション
この記事のまとめ
✓ ロコモは、運動器(骨・関節・筋肉など)の衰えで立つ・歩く力が低下した状態です
✓ サルコペニアは、加齢などによる筋肉量・筋力の低下を指します
✓ 膝の痛みで動かないでいると、足腰が弱り悪循環に陥りやすくなります
✓ 簡単なチェックで、自分の状態に気づくことができます
✓ 運動(ロコトレ)と栄養で、予防・改善が期待できます
本記事は、日本整形外科学会認定 整形外科専門医・医学博士の佐々木颯太医師が、整形外科診療ガイドラインおよび国内外の医学文献を参照して作成しています。

「最近、足腰が弱ってきた」と感じる方へ
外来で膝や腰の診察をしていると、「膝が痛くて動かないうちに、足腰がすっかり弱ってしまった」という方によくお会いします。立ち上がりがつらい、歩くのが遅くなった、つまずきやすい——こうした変化の背景には、運動器の衰え(ロコモ)や筋肉の減少(サルコペニア)が関わっていることがあります。
これらは「歳のせい」と見過ごされがちですが、適切な運動と生活習慣で予防・改善が期待できます。この記事では、整形外科医の立場から、ロコモ・サルコペニアとは何か、どう対策するかを解説します。
ロコモとは
ロコモ(ロコモティブシンドローム、運動器症候群)とは、骨・関節・筋肉・神経といった運動器の衰えによって、立つ・歩くといった移動機能が低下した状態です。日本整形外科学会が提唱した概念で、進行すると介護が必要になるリスクが高まります。変形性膝関節症や骨粗しょう症、背骨の変化などが原因になります。
サルコペニアとは
サルコペニアとは、加齢などによって筋肉量が減り、筋力や身体機能が低下した状態を指します。握力が弱くなる、歩く速さが遅くなる、といった形であらわれます。サルコペニアが進むと、ロコモや、心身が弱る「フレイル」にもつながります。ロコモが運動器全体の問題であるのに対し、サルコペニアは特に筋肉に注目した考え方です。
膝の痛みとの悪循環
膝の痛みとロコモ・サルコペニアは、深く関係しています。膝が痛いと動くのがおっくうになり、活動量が減ります。すると筋力が落ち、膝を支える力が弱まって、さらに膝に負担がかかり痛みが増す——という悪循環に陥りやすくなります。
この循環を断つために重要なのが、適切な運動です。膝の治療でリハビリ(筋力強化)が重視されるのは、痛みを和らげるだけでなく、こうした全身の衰えを防ぐ意味もあるからです。
簡単なチェック
次のような項目に心当たりがある場合は、運動器が衰えてきているサインかもしれません。
- ・片脚立ちで靴下がはけない
- ・家の中でつまずいたり、すべったりする
- ・階段を上るのに手すりが必要
- ・横断歩道を青信号で渡りきれない
- ・15分くらい続けて歩けない
- ・2kg程度の買い物を持ち帰るのが困難
これらは、日本整形外科学会が示すロコモのチェック項目を参考にしたものです。当てはまる項目がある方は、一度ご相談ください。
予防・改善の運動(ロコトレ)
ロコモ対策の運動として、日本整形外科学会は「ロコトレ」を紹介しています。代表的な2つを挙げます。
片脚立ち(バランス能力)
転倒しないよう、机や手すりにつかまれる場所で行います。床に足がつかない程度に片脚を上げ、1分間ほど保ちます。左右行います。ふらつく場合は、必ず何かにつかまって行ってください。
スクワット(筋力)
肩幅程度に足を開き、お尻を後ろに引くようにゆっくり膝を曲げ、ゆっくり戻します。膝がつま先より前に出すぎないように。痛みのない範囲で、浅めから始めましょう。不安な方は、椅子に座る・立つ動作をゆっくり繰り返す方法でも構いません。
運動は毎日少しずつ続けることが大切です。痛みが強いときは無理をせず、医師や理学療法士に相談しながら行ってください。

栄養も大切
筋肉を維持するには、運動だけでなく栄養も欠かせません。特に、筋肉のもとになるたんぱく質をしっかりとることが大切です。高齢の方では食が細くなり、知らないうちにたんぱく質が不足していることがあります。バランスのよい食事を心がけ、極端な食事制限は避けましょう。持病がある方は、主治医に相談しながら進めてください。
当院でできること
佐々木整形外科では、膝や腰の痛みの治療とあわせて、運動器の評価や、理学療法士による運動指導・リハビリを行います。「膝が痛くて運動できない」という方も、痛みに配慮しながら、その方に合った運動を一緒に考えます。足腰の衰えが気になる方は、早めに対策を始めることが、将来の生活を守ることにつながります。
まとめ
ロコモは運動器の衰え、サルコペニアは筋肉の減少を指し、いずれも「歳のせい」とあきらめる必要はありません。膝の痛みと足腰の衰えは悪循環になりやすいため、適切な運動と栄養で対策することが大切です。福岡市中央区小笹で足腰の衰えや膝の痛みが気になる方は、無理をせず一度ご相談ください。
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参考文献
・日本整形外科学会 ロコモティブシンドローム公式サイト(ロコモ ONLINE)
・日本整形外科学会 ロコモティブシンドローム関連資料
・サルコペニア診療ガイドライン(日本サルコペニア・フレイル学会)
・Chen LK, et al. Asian Working Group for Sarcopenia: 2019 Consensus Update. J Am Med Dir Assoc. 2020.