膝のステロイド注射の効果と副作用|整形外科専門医が解説【福岡市中央区小笹】
- 2026/05/31
- 膝の痛み
この記事のまとめ
✓ ステロイド注射は、強い炎症や腫れをすばやく抑えることを目的とした治療です
✓ 効果が出るのは比較的早い一方、効果は一時的なことが多くあります
✓ 軟骨などへの影響を避けるため、繰り返しの使用には注意が必要です
✓ 糖尿病・緑内障のある方は、血糖や眼圧への影響に注意して使用します
✓ 保険診療で受けられ、ヒアルロン酸やリハビリと組み合わせて使い分けます
本記事は、日本整形外科学会認定 整形外科専門医・医学博士の佐々木颯太医師が、整形外科診療ガイドラインおよび国内外の医学文献を参照して作成しています。

目次
膝の強い痛み・腫れでお悩みの方へ
福岡市中央区小笹の周辺で、「膝が急に腫れた」「ズキズキと強く痛む」「水がたまって動かしづらい」といったご相談を受けることがあります。こうした炎症が強い時期に、痛みをすばやく抑える目的で検討される治療の一つが、ステロイドの関節内注射です。ここでは、その役割と、効果・副作用・使いどころを整理してお伝えします。
ステロイド注射とは|強い炎症を抑える治療
ステロイド(副腎皮質ステロイド)には強い抗炎症作用があり、関節内に注射することで、炎症や腫れ、痛みをすばやく抑えることが期待されます。膝に水がたまるなど炎症が強い時期に、症状を落ち着かせる目的で用いられます。変形性膝関節症の炎症が強い時期などにも用いられますが、あくまで炎症を抑える対症療法であり、関節の変形そのものを治す治療ではありません。
どんなときに使うか|状態別の目安
向いていることが多いケース
- 膝が腫れている、水がたまっている
- ズキズキとした強い痛みがある
- 急に悪化した
- 炎症が強く、まず痛みを落ち着かせたい時期
慎重な判断が必要なケース
- 炎症が強くない慢性的な痛み(ヒアルロン酸などが向くことが多い)
- 短期間に繰り返し使用してきた場合
- 糖尿病・緑内障などがある場合
炎症が強くない慢性的な痛みには、ステロイドよりもヒアルロン酸やリハビリが向くことが多くあります。状態を見極めて選択します。
効果の出方と持続
ステロイド注射は、数日以内に効果を感じることが多く、炎症が強い時期には特に有効です。一方で、その効果は一時的なことが多いのが特徴です。痛みが落ち着いている間に、リハビリで筋力や動作を整えるなど、次の対策につなげることが大切です。効果には個人差があります。
繰り返し使えるのか|頻回使用に注意
ステロイド注射は、短期間に何度も繰り返すと、軟骨への影響や関節の組織が弱くなることが懸念されます。また、関節内注射には、ごくまれに感染のリスクもあります。こうした理由から、同じ関節への使用回数は限って用いるのが一般的です。漫然と繰り返すのではなく、必要な時期に的を絞って使い、ほかの治療と組み合わせていきます。
痛みはあるか|実際のところ
注射時にはチクッとした痛みが生じることがあります。当院では細い針を用い、必要に応じて超音波(エコー)で位置を確認しながら注射することで、負担をできるだけ抑えることを心がけています。
副作用と注意点|安全性について
ステロイド注射には、次のような注意点があります。
- 注射部位の一時的な痛み・腫れ
- ごくまれに関節内の感染
- 繰り返しの使用による軟骨などへの影響
- 血糖値の上昇(糖尿病のある方は特に注意が必要です)
- 眼圧の上昇(緑内障のある方は注意が必要です)
糖尿病や緑内障のある方は、事前に医師にお伝えください。状態に応じて、使用の可否や量を慎重に判断します。
費用と保険適用について
膝の炎症に対するステロイドの関節内注射は、保険診療で受けられます。自己負担額は負担割合や使用する薬剤・検査内容によって変わります。別途、診察料やレントゲンなどの検査費用がかかります。正確な費用は受診時にご確認ください。
ヒアルロン酸注射との違い
膝の注射では、ステロイドのほかにヒアルロン酸もよく用いられます。目的と使いどころが異なります。
ステロイド
- 強い抗炎症作用。炎症や腫れが強い時期に、すばやく痛みを抑える
- 効果は一時的なことが多く、回数を限って用いる
ヒアルロン酸
- 抗炎症作用は穏やかだが、関節の潤滑・保護を目的とし、継続して用いやすい
炎症が強い時期はステロイドで落ち着かせ、その後の維持にヒアルロン酸を用いるなど、状態に応じて使い分け・組み合わせを検討します。
リハビリとの併用が大切です
ステロイド注射は、炎症を抑えて痛みを和らげる手段の一つです。膝の痛みの背景には筋力の低下や動作・姿勢の問題が関わっていることが多く、痛みが落ち着いている間にリハビリ(筋力・動作の改善)を行うことが、長期的な改善と再発予防につながります。
治療の流れ|初めての方へ
- 1.来院・受付
- 2.問診と診察(持病・服薬の確認を含む)
- 3.レントゲンなどによる状態評価
- 4.治療方針のご相談(注射・リハビリなど)
ご希望や状態を確認したうえで進めます。ご納得いただかないまま注射を行うことはありません。
よくある質問
Q. ヒアルロン酸とどちらがいいですか?
A. 目的が異なります。炎症が強い時期はステロイド、慢性的な痛みの維持にはヒアルロン酸が向くことが多く、状態によって使い分けます。
Q. 何回も打って大丈夫ですか?
A. 軟骨への影響などを避けるため、回数を限って用います。漫然と繰り返すことは避けます。
Q. 糖尿病ですが受けられますか?
A. 血糖値が上昇することがあるため、注意して判断します。必ず事前に医師にお伝えください。
Q. すぐ効きますか?
A. 数日以内に効果を感じることが多い治療です。ただし効果は一時的なことが多く、個人差があります。
膝の痛みを放置すると
強い炎症や痛みを放置すると、関節の状態が悪化したり、活動量が落ちて筋力が低下したりすることがあります。まずは現在の状態を確認することが大切です。
まとめ
ステロイド注射は、炎症が強い時期に痛みや腫れをすばやく抑えることを目的とした治療です。効果は比較的早く現れますが一時的なことが多く、軟骨への影響などから繰り返しの使用には注意が必要です。糖尿病・緑内障のある方では特に慎重に判断します。痛みが落ち着いている間にリハビリなどを行い、ほかの治療と組み合わせていくことが大切です。福岡市中央区小笹で膝の痛みにお悩みの方は、まずは状態を確認することから始めましょう。
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参考文献
・日本整形外科学会 公式サイト
・変形性膝関節症診療ガイドライン(日本整形外科学会)
・OARSI Guidelines for knee osteoarthritis (Bannuru RR, et al.)
・American Academy of Orthopaedic Surgeons (AAOS) Clinical Practice Guideline
・McAlindon TE, et al. Effect of Intra-articular Triamcinolone vs Saline on Knee Cartilage Volume and Pain in Patients With Knee Osteoarthritis. JAMA. 2017.